2016-01-20

マルチリンガル育児中に読んだ本 (2) - 151

マルチリンガル育児中に読んだ本 (1) -150の続きで、多言語環境の育児に関する本を読んできて心に残った本、ここ3年ほどの記録です。

3. 「Third Culture Kids: Growing Up Among Worlds」
David C.Pollock、Ruth E. Van. Recken著
(邦訳: サードカルチャーキッズ 多文化の間で生きる子どもたち (クロスカルチャーライブラリー))

多文化で育つ子どもの体験談が豊富で、アイデンティティがしっかりしないために落ちつけない感覚や特有の悩みを知ることができた本。他にも同じような感覚や体験をもつ子がいるということを知るために、子どもたちが大きくなったら勧めたくなる一冊のような気がします。英語で読みましたが(Kindleの英語版は日本語の本のほぼ半額で)日本語でも読んでみたいです。ちなみに日本のアマゾンの紹介文はこんなかんじ:
" サードカルチャーキッズ(TCK)」とは、両親の生まれた国の文化を第一文化、現在生活している国の文化を第二文化とし、この二つの文化のはざまで特定の文化に属することなく独自の生活文化を創造していく子どもたち、のこと。実際の体験談を通して、「落ちつかない、根無し草のような生活感覚」を持つ彼らの抱える問題を一つひとつ詳しく分析し、心理的、教育的観点などから解決方法を探り、新たな道筋をつけていく。"

4. 「Growing Up With Three Languages: Birth to Eleven (Parents' and Teachers' Guides)」 Xiao-lei Wang著

アメリカに住む中国人のママ(大学教授)がフランス人の旦那さんと2歳ちがいの二人の息子さんを中・仏・英のトリリンガルに育てた記録です。バイリンガルについての本は沢山ありますが、トリリンガルにしぼったケースは珍しいので興味深く読めました。子供達の誕生から11歳までの家庭での方針ややってきたことが書いてあり、他の多言語家族の調査や分析といったことではなく、ご自身の経験にフォーカスされているのがとても参考になります。特にの継承語の主なインプットがほぼ親からだけである場合、実際に家でもできそうな方法が沢山あると思いました。

例えばトリリンガルになるよう機会を家で最大化する方法として、本の読み聞かせ、個人的な経験を聞かせること、子どもの話をディクテーションし、その内容を大人が言葉を補充してさらに正しい文章にして聞かせること、3ヶ国語でプリントされた絵や印刷物をみれるようにする環境づくり、童謡を聞いて歌うこと、をあげているのですが、その一つ一つにどうやったか、どういう経験をしたかの詳細があります。うちでやっているのが本の読み聞かせと童謡を歌うことくらいだったので、他のもやってみよう、と思っています。

この続編に、「Maintaining Three Languages: The Teenage Years (Parents' and Teachers' Guides)」という本があり、ティーンエイジャーがどうトリリンガルを維持していくか、経験から導かれた実践的サポートのためのアドバイスが豊富にあるようです。うちのチビさんたちがもっと大きくなったら読んでみたいと思っています。

5. 「Family Language Learning: Learn Another Language, Raise Bilingual Children (Parents' and Teachers' Guides)」 Christine Jernigan著

母国語でない学習中の言語で子どもを育てバイリンガルにしたい、と思う人への本。教える本人の語学力と文化的知識向上のためのアドバイスもあります。著者はアメリカ人の女性(旦那さんもアメリカ人)でアメリカ在住。彼女はポルトガル語で子育て、英語ーポルトガル語のバイリンガルに育てた経験を持ちます。

ブラジルでティーンエイジャーに英語を教える機会が半年ほどあり、ポルトガル語はそこで習い始めたそうです。人に流暢にポルトガル語を話せるのか、と聞かれたら、流暢になるのが私の目指すところではなく、私ができることを子供たちに話し、日々学ぶのだ、と答えていたそうです。

乳幼児との会話に使うような言葉づかいを知らない、文化的背景も知らない、文法的な間違いがあるけど教えてもいいんだろうか、子供は自分の発音を聞くことで困惑させるのでは、などのネイティヴでないことの劣等感からくる心配は、ただの情報不足と彼女はいっています。子どもと本を読んでいてわからない単語があったら辞書でひけばいいだけなので、いつも辞書をもってあるけばいい、など、具体的な助言や著者とその他家族の体験談が豊富。この方も大学教授ですが、アカデミック感はなく、参考になるケースを自分の家の場合と照らし合わせて読めます。

いつかあるかもしれない可能性、、と思って読んでみました。例えば日本で両親ともに日本語ネイティブだけど日英のバイリンガルを育ててみたい、というような方には面白い本かもしれません。


スペインに住んでいた時にスペイン語で多言語育児の話しができるといいなと思って読んだドイツ語オリジナルのスペイン語訳の本。スペイン語のタイトルを訳すと”バイリンガル家庭を築く: 家庭と学校での複数言語教育" になります。

ドイツ人の女性が書いた本なので(彼女自身もバイリンガル子育て経験あり)ドイツに住んでいる他言語ファミリーの例なのですが、多くの言語が引用されてます。(日本語の例はなかったですが)バイリンガルだけでなく、トリリンガル以上の話もあります。

一人一言語の家庭でも、両親外国人で現地の言葉と親の言葉の両方で子育てをしている家庭でも、具体的な経験談やアドバイスを見つけることができます。例えば、現地の言葉と母国語と2ヶ国語で子育てしている場合に子供の困惑をさける方法として:

  • 夕食の時間だけは現地の言葉を使い、それ以外は親の母国語で話す、など場所や時間を特定してその時だけ現地語を使う。
  • 自分の外国人アクセントが気になる場合は、人形を使って現地語を話すのも一つのやり方。腹話術のようにわざとおかしさをだして話すこともできるし、親もアクセントを気にしなくなるから気楽に話せるようになる。

そういうやり方もあるなぁ、と納得。2002年出版のやや古い本ですが、今でも十分通用すると思うことが沢山ありました。多言語の家庭の子育てや教育について本を探すと、一番あるのはおそらく英語。でもそれ以外の言語で書かれた本でも参考になること、多くあります。このドイツ語の本なんか英語訳されて世界でシェアされてもいい気もしますが。。 

どこの国に住んでいても、その国の言葉で書いてある本が読みたいと思っています。フランス語の本はまだ探していないのですが、フランスの多言語教育の話など同じような環境のママたちとフランス語で話したいし、読んでいきたいと思っています。



写真は今の時期に咲くローズマリーの花と3年前のこの時期に義母さんからもらった指輪。ちょうど長男の妊娠がわかった時だったので花を見るたびにその頃のことを思い出します。





2016-01-12

マルチリンガル育児中に読んだ本 (1) -150

すっかり遅くなっていますがあけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします!

我が家では日・仏・独・西・英が求められる言語なのですが、最近家庭内では日・仏・独の3言語に落ち着いてきて少し肩の荷がおりた気分です。聞く言語が少ないと落ち着きます。

時代的に実利の圧倒的に強い英語、従兄弟たちが話すスペイン語、この二つを意識的に耳にいれないようにするのももったいない気もしますが、仏独できたら英語は上手になると思っているし、スペイン語もフランス語できると理解は早いだろうし、と考えて家庭内言語からは削除決定。母国語の安定が何よりも大切。でも日・仏・独のどれが母国語になるの?と不安はまだまだ消えない今日この頃です。

自分の不安を取り除くためにも複数言語を話す家庭の話や子育ての本をよく読むのですが、ここ3年ほど読んで参考になった本の記録です。

1. 「バイリンガル教育の方法―12歳までに親と教師ができること」 (中島和子著、アルク)

バイリンガル教育やバイリンガルついて一般人にも読みやすく書いてあります。バイリンガル教育の現場の実態の話はとても興味深かったです。バイリンガルになっていますが、それ以上の言語環境にあるご家庭でも参考になると思った事例や分析結果がありました。

カナダのイマージョン教育、システムとして確立しているとはうらやましい限りです。外国語として学ぶより、習得したいと思う言語で思考し、インプットしてアウトプットしながら何か他のことを学ぶとその言語は大きく伸びます。私はフランスに来る前にスペインにトータル11年住んでいたのですが、スペイン語を学ぶより、スペイン語で何かを学んだ後に語学の伸びを実感してきました。子供のうちから2言語で学べる環境を与えられたら最高だと思います。

私は海外で継承語として日本語を教えているケースにあたるのですが、この本にあって親が実際できることといったら補習校にいれることくらいでしょうか、うちは日本やドイツに半年や1年といったやや長期でいって学校に通わせるのは難しそうだし。。家庭でできることにももっと言及があったらいいなぁと思いました。

アマゾンを見ていたら、「完全改訂版 バイリンガル教育の方法 (アルク選書)」 という本を発見しました。新しい情報を盛り込んだ改訂版なのでしょう、2016年1月28日発売とのことですが、こちらも読んでみたいです。Kindle化してほしい〜!(ぜひアマゾン日本でKindle化希望にぽちを教えてくださいまし)

 2.  「学習言語とは何か―教科学習に必要な言語能力」 (バトラー後藤裕子著、三省堂)


漠然とした子供の言語能力の研究を学習言語という点から小中学生を対象にした研究/実践事例を、この分野では比較的進んでいるアメリカの例を中心に書かれた本です。アカデミックな本ですが、専門用語の説明わかりやすかったです。

学習言語は日常会話能力とは違うものというおぼろげな認識はあるが、本当に日常会話能力とは区別できる能力なのか、という言及に深く同意。すごく難しいと思います、これ。読んだ当時、子供達が何語を核にして学校教育を受けるようになるのかが まだわからない状況だったので、この先どんな壁がありそうなのか、不安が具体的になりました。

また、母語話者ではない、英語および日本語学習児童への教育といった視点で主に書かれているので、息子たちが近い将来抱えそうな日本語の課題がどんなものになりそうなのか、具体的に想像できるのもよかったです。

漢字文化を背景に持っている子でも持っていない子でも、第二言語として子供が日本語を学習する場合、本を読んだり話を聞いたりしているかんじだと小学3年生頃からつまずくことが多いようなのですが、その原因の一つにはどの教科においても学習時の漢語の使用が増える点が挙げられている点など、研究結果は興味深いものでした。漢字だけでなく、漢語としてわからないと意味が取れなくなるというのは話し言葉に漢語が少ない分、耳の痛い話でもありました。

感想書きながらだとちょっと長くなりそうなので、また次回に続きの本について書きたいと思います。


写真は東方の三賢者の人形。我が家では12月にクリスマスツリーをだしてこのお飾りを1月に出して(1月6日がお祝いの日)、このお祝い終わって冬のイベント物をまとめてかたずけます。このお飾りが出てガレット・デ・ロワというケーキを食べると新年きたなぁ感覚が高まります。



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