2017-08-25

バルセロナテロ事件で3歳の子を失った父の言葉 : 私はムスリムを抱きしめなければ -203

先週の木曜日、2017年8月17日にスペインのバルセロナで発生したテロ事件。バルセロナ市内中心のランブラス通りに車両が突入、道を歩いていた人たちにぶつかりながら500mほど暴走し、死者13人、負傷者100人以上を出すという大惨事になりました。

10年も住んでいた大好きな町で起こったことだったのでしばらくショックを受けていました。そして、また多くの犠牲者が生まれた、という悲しみとテロニュース疲れの感覚だけが残った頃、El Periódicoという新聞のEl Padre de Xavi : "Necesito abarzar un musulmán."という記事を読みました。

死者の一人にバルセロナの近郊都市ルビに住むXavi(チャビ)という3歳の男の子がいたのですが、そのお父さんJavier(ハビエル)がEl Periódico紙に彼の経験を語ったものです。その一部を抜粋・訳してみると:


El padre de Xavi quiere que “la muerte de mi hijo sirva para algo”. Lo explica apelando al carácter acogedor que históricamente ha tenido Catalunya. A la alianza de civilizaciones. 
 “Necesito darle un abrazo a un musulmán. Que esa gente no tenga miedo. Necesito hacerlo”. 
Horas después de pronunciar esta frase, Javier consoló con un abrazo las lágrimas del imán suplente de Rubí, Driss Sally.
チャビの父は「自分の息子の死が何かに役に立って欲しい」と願っていることを、カタルーニャが歴史的に培ってきた寛容の精神をもちいて説明する。文明の同盟を目指して。 
「私はムスリムを抱擁しなければならない。その人が怖がらないように。私は抱きしめなければいけない。」  
この言葉を述べた数時間後に、ハビエルはルビのイマン(導師)代理、ドリス・サリーの涙を慰めた。 

 (記事・写真: El  Periódico 24/08/2017)

文明の同盟」とは2005年に当時の国連事務総長アナン氏によって提唱され、
宗教的信条と伝統に対する相互尊重を推進し、あらゆる分野で強まる人類の相互依存を再確認する連合となる。その主要な任務は、集団の政治的意思を造り出し、国家、人民、地域社会間の異文化理解と協力を改善することである。西欧社会とイスラム社会との間の関係、またはそれぞれの社会内での関係を強化し、根強く残る緊張と分裂を解消することに力を入れている。
という意味だそうです。

報道写真の表情だけで伝わってくる、その深い慈愛の表情にグッときました。この写真一枚から緊張と分裂を解消したい思いが伝わって来ます。私にも亡くなった子と同じくらいの年の息子がいるので、同じ状況が自分に訪れたとしたら?イスラム教を信じる人たちに憎しみを持たずにふるまえるか?と考えてしまいます。

私がスペイン、フランスと暮らしてきて知り合ったイスラム教徒の人たちは気のいい普通の人たちです。

バルセロナで働いていた時の会社にはモロッコ人の敬虔なイスラム教徒の男性がいました。昼休みや休憩時間にコーラン聞いたり、金曜日の午後は礼拝があるので勤務時間を変則的にしたりする敬虔な一面があり、でもクリスマスなどの会社のパーティーでは「XXにも生ハムを!」と冗談で言われてもさらに笑いで上手に返すような笑わせ上手な面があり、とスペイン社会にうまく溶け込んでいた人でした。彼にも子供がいて、日本語補習校のようにある子供達のためのアラビア語補習校の話が興味深かったのを覚えています。語学だけでなく、音楽やコーランの授業もあり、週2回授業をやっているとか。

日本に住んでいたこともあるという日本語ぺらぺらのパキスタン人の男性もいました。スペインの建築事務所で働いていて、早く国からお嫁さんとお子さんを呼びたいって、文字どおり朝から晩まで働いて頑張っていました。

フランスに来てからも、チュニジア人のイスラム教徒ファミリーに家の工事や庭のことなどいろいろお願いしているのですが、皆明るくて、とても親切。

みんな移民先の国に自分や子供の未来を考えているのでしょう、移民先の国の言葉も上手く、住む国の社会システムに従って普通に住んでいる人たちばかりです。

テロに怒りと悲しみを覚え、ヨーロッパに溶け込んで生活している穏やかなイスラム教徒たちのイメージがまた悪くなることが気にかかっていたので、このハビエルさんのように犠牲者の家族が新聞に自分の経験を語り、さらにムスリムの人を抱きしめなければ、と発表したことをとてもうれしく思いました。

今回はマドリードでもバルセロナでも、イスラム教徒たちがイスラムの名前でテロするな、私たちも同じ人間で痛みは同じ、とあちらこちらで声を大きく上げています。

Los musulmanes de Catalunya: "El dolor es común, todos hemos llorado"  
(カタルーニャのムスリムたち: "痛みは同じ、私たちも皆泣いた" - El Periódico 22/08/2017)

El grito de rechazo al terrorismo de los musulmanes madrileños

(マドリードのムスリムたちのテロリズム拒絶の叫び - La Vanguardia 21/08/2017) 

この3歳の息子を亡くした父親の思い、テロに反対するイスラム教徒たちの声が何も生み出さない不毛なテロを起こしている人たちに届きますように。



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